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Choir of Christ Church Cathedral, Oxford

 

1980年代前半のFrancis Grierが指導していた時代に、この合唱団は

TavernerのMissa Corona Spineaや D. Scarlatti のStabat Mater など、

あっと言わせるような、画期的とも言える録音をいくつか出した。 残念ながら、

Francis Grierという人は数年で止めてしまったようで、 しかし、その後も

イギリスの古い宗教曲の水準の高い録音を数多く提供してくれている。

 

  Byrd, Mass for Four Voices

最近Byrdの曲を聴くようになった。 H. Schutzの曲と似た雰囲気があると思う。。

簡素な構成なのだけれど、とても力強い。 内省的であったり、 切々と訴えかけもする。

アカペラなので、 美しい歌声を心ゆくまで堪能できる。

個人的には、 「Gloria」、「Ave verum corpus」 が大変気に入った。

このCDの合唱は素晴らしいと思う。 男性合唱は柔らかく、深く、良く響く。 少年合唱は可憐で

美しい。 盛り上がるべきところで、しっかり盛り上がる。 腕の良い録音エンジニアが担当しているらしく、

すべてが大変良く溶け合って聴こえる。 暗く静かにした部屋で、ヘッドフォンをして大きめの

音で聴くと、完全に洗脳されて、大変気持ちよく、しばしばぞくぞくする。

1990年10月、Dorchester Abbey, Oxfordshire での録音。 

 

指揮: Stephen Darlington

Nimbus, NI 5287

(ずいぶん昔に買ったCDなので、この型番は存在しないかもしれない。 しかし、

何らかの形でこのこの演奏を聴くことは、おそらく可能だろう。 2009/08/25)

 

 

 

    D. Scarlatti,  Stabat Mater    

 イギリスの少年合唱団特有の白っぽいさらさらの歌声。 こういうのを頭声というのだろうか。

 とても一生懸命歌っている。 前半までは、ゆったりした感じ。 後半の19分30秒くらいから、

 ネジが一本抜けて良い感じになってくる。 D. Scarlattiのチェンバロの曲のようにのりが良くなる。

Francis Grierの本領発揮である。 速いテンポで、 ピョンピョン跳ねるような感じの曲を、 

Christ Churchの少年達が息をハーハー弾ませながら、 可憐な歌声で精一杯に歌う。

大変ユニークなCDだと思う。 1985年の録音。 合唱が非常にはっきりと聴き取れる。 

この当時としては、非常に良い録音だと思う。 Recording Engineer, Antony Howell.

Stabat Materの他に、Salve Regina が入っている。 ソプラノソロは、Charles Harris (boy soprano)。  

オルガンのためのソナタも入っているけど、Scarlattiらしい楽しい曲。 全体に大変良いCDだと思う。 

指揮: Francis Grier

Hyperion, CDA66182 (輸入版)

 

 

    J. Taverner,  Missa Corona Spinea    

この曲はあっちの世界に行ってしまっている。 最高に気持ち良い。 寂寥感を超えて、諦めを超えて

恍惚感に満たされている。 このCDでは40分にも及ぶ高音の多い摩訶不思議なメロディーを

The Choir of Christ Church Cathedral, Oxfordの少年達が息を切らしながら歌っている。

はちゃめちゃなこの曲を少年達にきちんと仕込んで歌わせた、当時の合唱団の指導者Francis Grierに

私は心から感謝したい。 1982年の録音。 音質はまあ良い。 

これからもこの曲が他の合唱団によっても歌われ、録音されることを心底から願う。

 

指揮:Francis Grier

ASV, CRCB-1020 (国内版)

 

    J. Taverner,  Missa Mater Christi    

この曲もタヴァナーらしい、寂しげな曲。 通常は7−8分で演奏されるけれど、このCDでは、典礼形式なのか、

全体で60分近い。 通常のミサ曲のように、Introitus、Kyrie、Gloria…という風になっていて、 そのうちのいくつかが

タヴァナーによる。 しかし、全体を通して、非常にしっくりきている。 Christ Churchの少年達が優しい歌声で、

この寂しげな曲を丁寧に切々と歌い上げる。 魅力的な旋律が次から次へと出てきて、一度聴き始めると

なかなか途中で止められなくなる。 1989年の録音で、音質は良い。 Nimbus独特のちょっと

かわいたような感じの音なのだけど、音場は自然だし、良い録音だと思う。 

 

指揮:Stephen Darlington

Nimbus, NI1762.  English Choral Music(8 CD SET)の中の1枚。 バラ売りもある。 (輸入版)

 

  O FOR THE WINGS OF A DOVE 

私の好きな、Francis Grierが指揮者をしていたころのChrist Churchの録音。

メンデルスゾーンのO for the Wings of a Dove でソロを歌うのはAndrew Olleson (boy soprano)。 

白っぽい、細めの声だけれどで、高い音も気持ちよく伸びる。 非常に上手、というわけではないのだけれど、

一生懸命歌っていて、とても好感が持てる。 このCDには、Samuel WesleyIn Exitu Israel という、

他ではあまり聴けない珍しい曲が入っている。 各声部が入り組んでいて、しかも高低の落差が激しい。

Christ Churchの少年達が息を切らしながら、夢中になって歌っている。 いかにもこの合唱団の指導者

Francis Grierが喜びそうな音楽。 私もこの手の曲は大好き。 聴いていてとても楽しい。

もっともっと沢山の合唱団にSamuel Wesley の In Exitu Israelを歌って欲しいと思う。

StanfordのFor lo, I Raise Up は勇ましい感じの曲。  これらの他に、Mozartの Ave Verum Corpus,

Bach のJesu, Joy of Mans Desiring (Cantata 147) などが入っている。 録音も鮮明。

 

指揮: Francis Grier

ASV, QS-6019 (輸入版、 輸入発売元:新世界レコード社。 1000円くらいで売っていた。)

 

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