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Knabenchor Hannover
(ハノーファー少年合唱団)
私のもっとも愛する合唱団。 Windsbacher Knabenchorのようなすばしこさや、 New College Choir, Oxfordのような
磨き上げられた艶やかさは無く、 どちらかと言うと地味な存在だけれども、 その気品溢れる柔らかな声は何ものにも
変えがたい。 かけがえの無い存在である。 2002年1月に、合唱団の創設者であり、手塩にかけて育て上げてきた
Heinz Hennig氏が亡くなったそうである。 残念でならない。
しかし最近の録音を聴いていると、指導者がJörg Breiding氏になっても、この合唱団の美点は受け継がれていると感じる。
Actus tragicus / Knabenchor Hannover
このCD (Actus tragicus, Kantaten und Motetten auf dem Weg zu Johann Sebastian Bach) に
収録されている曲は、とても良い。
最初のBachの有名なカンタータBWV106では、ハノーファー少年合唱団は柔らかく、
明るく、軽やかな声で、大変丁寧に歌っていて、とても良い。 Teldecから出ている1970年代の録音ではソロも少年であった
が、ここでは、Himlishe Cantoreyという団体の女声ソプラノ、アルトがソロを歌っている。
Track 7, Johann Bachの Unser
Leben ist ein schatten は、 あまり聴かない曲だが、
すっかり気に入ってしまった。 開始後4分くらいのところで、 Ach wie fluchtig,
ach wie nightig is der Menschen Leben
!
(O how transient, o how worthless is the life of
men !) と、暗い情熱がちろちろと燃えはじめる。
5分09秒、曲の最後の部分はAch Herr… と一段と高い、しかし、ハノーファー少年合唱団特有の哀調を帯びた
品のある声で始まり、 mussen alle davon と哀願するように繰り返して終わる。 ここで少年達の見せる自然な純度の高い
燃焼は素晴らしい。 思わず説得されてしまう。 本当にこういう曲は、ハノーファー少年合唱団にぴったりだと思う。
その他に J.S. Bach の BWV131、 Johann Lodwig Bachのモテット、 Johan
Schelleのカンタータが収録されている。
録音は鮮明であり、しかも自然で大変美しい。
指揮: Jörg Breiding
Barockensemble L’Arco, Himlische Cantorey,
Händel Messiah / Knabenchor
Hannover
Jörg Breiding の指揮によるハノーファー少年合唱団のMessiah。 英語で歌われている。
H. Hennig晩年のハノーファー少年合唱団は若干元気が無かったように思うが、若い指導者Jörg Breiding (1972年生まれ)
になって元気がでてきたようだ。 Messiahに良くある、くねくねした動きの速い部分も、ややテンポを抑えつつも、
ていねいにきっちりと歌っている。 この合唱団特有の柔らかで軽やかなボーイソプラノも健在。
イギリスの合唱団と異なり、アルトはボーイアルトによって歌われていて、 これがとても魅力的。
ソプラノアリアは通常のように、女声ソプラノ (Siri Karoline Thornhill) によって歌われている。
2002年12月ライヴ録音。 音場は自然。 音質は素晴らしく良い、とは言えないけど、嫌味のない良い録音だと思う。
50年以上にわたってKnabenchor Hannover を素晴らしい少年合唱団に育て上げてきたHeinz Hennigから
Jörg Breidingに指導者が代わって、 この合唱団はどうなるのだろうか、と少々心配だったが、このCDを聴いて安心した。
今後がとても楽しみ。
指揮: Jörg Breiding
Barockorchester L’ARCO
Ars Musici AM1359-2
Marc-Antoine, Charpentier,
Messe pour le Samedi
de Paques,
Messe des morts
ハノーファー少年合唱団は、シャルパンティエの晩秋の夕暮れのような、静かな悲しみをたたえたこれらのRequiemを、
丁寧に真心を込めて歌う。 この曲のこの素晴らしい演奏を聴くと私は感謝の気持ちでいっぱいになります。 私の宝物
といっても良いCD。 音質に関して、 Messe pour le Samedi de Paquesの方は、非常に良いとは言えない。
Messe
des mortsの録音は良い。 1988年の録音。
指揮:Heinz Hennig
CALIG,
CAL50874
Bach,
Kantate 198 / Knabenchor
Hannover
私はバッハのカンタータの中でこの曲が一番好き。 ザクセン王妃の葬送のために書かれたTrauerode。
ここでも、この曲の切々とした悲しみをハノーファー少年合唱団は丁寧にあくまでも自然に表現している。
「An
dir, du Vorbild grosser
Frauen」 は息も詰まりそうなほど美しい。 ソプラノソロを歌うJan Patrick o’ Farell
もとても好感の持てる歌い方。 録音は1980年代後半と思われ、音質はまあまあ良い。
指揮:Gustav Leonhardt
Teldec バッハカンタータ全集の中の一枚。
Bach, Kantate 106 / Knabenchor Hannover
最初の合唱で「Gottes Zeit」と歌うときの、のこの信じがたいほどの軽やかさ、柔らかさはどうだろう。
最後合唱でも、まるで天に舞い上がってしまいそうな、天国的な軽やかさである。
「In
deine Hande…」でアルトのソロを歌うRaphael Hartenは透明な声の持ち主で、
歌い方も非常に素直な感じで大変良い。
録音は70年代後半と思われるが、アナログの絶頂期だけあって、非常い素晴らしい。
この合唱団の良さを忠実に捕らえている。 伴奏も美しい。
指揮:Gustav Leonhardt
Teldec バッハカンタータ全集の中の一枚。
Buxtehude, Membra
Jesu Nostri /
Knabenchor Hannover
バッハの先輩によるこの作曲家のちょっぴり秘密めいていて甘やかなこの曲を、
ハノーファー少年合唱団が柔らかい優しい声で歌い上げる。
「膝について」という曲の最後のほうで、「Ubera!」 と言い放つときの少年たちの
輝かしくも軽やかな歌声は、いったい何に喩えたらよいだろうか?
私はこの部分を聴くと、夕暮れの空に漂い、一瞬の間だけ、金色に輝く一筋の雲を思い起こす。
録音もバランスがとれていて、とても良い。 冬の北ドイツの寒い教会の中で、
日も暮れて辺りが静かになった頃、 少年たちが頬を紅潮させながら
真剣な眼差しで歌っている姿が目に浮かぶかのような、良い録音。
指揮:Ton
Koopman
Amsterdam
Baroque Orchestra
Erato,
WPCS 11120 (国内版)
(最近、トン・コープマン スーパーバリュー シリーズの中の一枚として1000円で売られている)
私の心から愛するハノーファー少年合唱団がシュッツの「白鳥の歌を」心をこめて丁寧に歌っている。
ハノーファー少年合唱団の柔らかくて透明な声で切々と歌われるシュッツの曲は本当に心に染み入る。
ソロもボーイソプラノによって歌われているけれども、どれも粒よりで、素直な歌い方が大変良い。
1985年の録音。 非常にHi-fi と言う訳ではないけれど、とても聴きやすい音質。 この当時としては
最も良い部類に属すると思う。 私がこのCDを買ったのは10年以上前のこと。
現在はVirgin から出ているようだ。
指揮: Heinz Hennig
EMI CE30-5138-39 (国内版。 現在はVirginから発売されている(輸入版)。 2003年10月)
Lassus Muduli Quinis Vocibus, 1571
/ Knabenchor Hannover Recommended
私のこよなく愛するハノーファー少年合唱団から選ばれた5人の少年達
(Albrecht Drude, Marcus Klein, Christhard Liebert, Detfeld Bratschke, Peter Frank)
の極上の歌声を聴くことができる。 透明で品のある、ひたむきな歌声はこの合唱団ならではのもの。
Lassusの音楽の持つ清純な美しさが際立つ。 1979年のアナログ絶頂期の録音。
音質は非常に自然で、合唱も鮮明に捉えられている。 素晴らしい録音だと思う。
指揮:Philippe Herreweghe
Collegium
Vocale
Astree, E7780 (輸入版)
VESPRO DELLA BEATA
VERGINE -- Knabenchor Hannover
聖母マリアの夕べの祈り − ハノーファー少年合唱団
このMonteverdiでは、ハノーファー少年合唱団は明るめの優しく品のある声でひたむきに歌っている。
このCDの “Gloria Patri” で、 ちょっぴり哀調を帯びた少年達の歌声が、何ものにもとらわれずにふんわりと
空間を漂うのを聴くと、 私はいつも 「白鳥は悲しからずや、海の青、空の青にも染まずただよう」 という中学生の時に
習った詩を思い出す。 (この詩、あまり正確に記憶しておりません。 間違っている可能性あり。)
ハノーファー少年合唱団の歌い方はこの曲に本当にぴったりあっていると思う。
ソプラノソロは女声ソプラノ(Babara Schlick)。
1979年のライブ録音。 音質は標準的。 若干枯れた感じはあるが、嫌味の無い自然な音質だと思う。
合唱はきれいに捉えられている。 Artistic supervisor:
Reinhold Brunotte, Recording Engineer: Willy Dolassek.
このCDも是非お薦めしたい。
指揮: Heinz Hennig
Pro Cantione Antiqua,
London
Collegium Aureum
Musica Fiata
ARS MUSI CI AM 1000-2 (輸入版)
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